歯周病治療

歯周病とは?
歯肉炎との違いと、
本当の怖さ

歯周病・歯槽膿漏は同じ病気だとご存知ですか?
歯周病とは、歯を支えている骨の病気であり歯茎の病気ではありません。
それゆえ、歯槽膿漏の予防歯磨き粉だけでは歯周病は完全に予防できません。

気づかぬうちに
進行する“骨の病気”
歯周病の正体と全身への影響

歯周病は「歯ぐきの病気」と思われがちですが、実際には歯を支える骨(歯槽骨)が破壊されていく“骨の病気”で、正式には「歯周炎」と呼ばれます。
前段階の「歯肉炎」は炎症が歯ぐきにとどまり、まだ骨の破壊は起きていません。
この段階での適切なセルフケアと歯科でのクリーニングにより健康を維持できます。
しかし進行すると、歯周ポケットが深くなり細菌が侵入、歯槽骨が破壊され、歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病は自覚症状が少なく、静かに進行するため“サイレントディジーズ”とも呼ばれます。
さらに糖尿病・心疾患・早産など全身疾患との関係も指摘されており、口腔内の健康管理が全身の健康にも直結します。
出血や口臭がある方は早めの受診を。
定期的な検診とケアが、歯と骨を守るために重要です。

歯周病の
進行段階について

歯周病(初期)

腫れた歯茎の隙間より、細菌は骨に到達します。
すると細菌は骨を溶かし始めます。
この状態が初期の歯周病です。
この時には、歯周ポケットは4mmを超え歯周病細菌の特徴である嫌気性菌(空気がある状態では存在できない菌)が増え始めます。

 

◆症状
歯茎の腫れ・出血・歯の浮いたような感覚。
この時点から、レントゲン上でも歯槽硬線の喪失・歯石を確認できます。

※ここでポイント!
歯肉炎と初期の歯周病では症状がほとんど変わらないので発見が遅れやすいです!
定期的にレントゲン撮影を行い初期の歯周病を見落とさないようにしましょう。

中等度歯周病

さらに、細菌は根尖方向に進行します。
骨を溶かすことにより、ポケットの深さ4−6mm
嫌気性菌は、歯周ポケットの中で血液を栄養源として黒い歯石を作ります。

 

◆症状
歯茎の腫れ・出血・歯の浮いたような感覚・歯茎の低下します。
レントゲン上で、軽度の骨の吸収、歯肉縁下に歯石を確認できます。

重度歯周病

さらに根尖方向に進行します。
骨を溶かすことによりポケットの深さ6mm以上。
嫌気性菌は、歯周ポケットの中で黒い歯石を作りバイオフィルムの形成を行います。
歯の根っこの長さは平均10mm です。
骨の吸収により、歯が揺れはじめます。

 

◆症状
歯茎の腫れ・出血・歯の浮いたような感覚・歯茎の低下・歯の動揺。
レントゲン上で、重度の骨の吸収、歯肉縁下に歯石を確認できます。

歯周病の原因

歯周病は、口腔内にいる歯周病細菌によって引き起こされます。
その歯周病細菌は嫌気性菌と呼ばれ、酸素・空気のある環境で生育することが出来ない菌です。
それゆえ、歯茎と歯の間のポケットの隙間に生息し悪さをし歯を支えている骨を溶かします。

歯周病は、細菌感染が根本原因でありながら、全身状態や生活習慣とも深く関わる病気です。
日々のセルフケアに加え、歯科医院での定期的なメンテナンスが、歯周病の予防・進行抑制には欠かせません。

歯周病を増悪させることが
わかっている因子

 

喫煙

喫煙者は非喫煙者に比べて2〜8倍歯周病に罹患しやすいです。
タバコに含まれる、有害物質によって口腔内の血流が阻害されます。それによって歯茎の炎症反応がマスキング(隠蔽)されます。
それにより、症状の進行に気づかず、歯周病が重篤化しやすいです。
また、歯周病治療を行っても治りが悪く、治療成績がよくないです。

 

妊娠

妊娠中はホルモンバランスが変わります。
その時に女性ホルモンをターゲットとした歯周病細菌が活発になりやすいです。
また、歯周病細菌は早産のリスク因子になることもわかっています。
妊娠中の検診・クリーニングを強くお勧めします。

 

◆糖尿病

糖尿病による免疫系機能障害,末梢血管循環障害,創傷治癒遅延が、歯周炎の病態を増悪させる因子として認められています。

 

HIV感染

HIV感染によって、壊死性潰瘍性歯肉炎(歯周炎)様の症状を呈することがあることから注意が必要です。

歯周病の
セルフチェック

サイレントディジーズと呼ばれている歯周病を早期に発見するためには、定期的に歯科医院の受診し、しっかりとした、レントゲン・歯周病検査を行うことが大切です。
それ以外にも、日々の生活で気を付けるべきことがあるので、それを紹介したいと思います。

歯周病のセルフチェック
定期検診をした方がいい方

こんな症状の場合は危険!!

上記のような症状・習慣がある場合は歯周病に罹患している可能性が非常に高いです。

歯周病の予防法

歯周病を予防するためには、
日々の歯ブラシ・フロスの習慣”セルフケア”
歯科医院で行う、歯ブラシで落とせない汚れ”歯石”をとるプロフェッショナルケア
の2つが大事になります。

歯周病を
予防・進行させないための
2つのケア

歯周病を予防・進行させないためには、「セルフケア」と「プロフェッショナルケア」両方の取り組みが不可欠です。
セルフケアとは、毎日の歯みがきやフロス、歯間ブラシなどで自分自身が行うプラークコントロールのこと。
これにより、新たな汚れの付着を防ぎます。
しかし、どんなに丁寧にみがいても、歯ぐきの中の歯石や、磨きにくい部分の汚れは完全には除去できません。

そこで必要になるのが、歯科医院で行うプロフェッショナルケアです。
専門の器具を使って歯石バイオフィルム(成熟した細菌のかたまり)を除去し、歯周ポケット内部まで清掃することで、細菌の活動をリセットできます。

ここで一番大事なことは、セルフケアでの日々の予防、プロケアでの専門的な除去と状態チェックすることです。
どちらか一方では歯周病を防ぐことが出来ません!
2つを継続的に行うことが、歯周病を防ぐためには重要なのです。

当院の歯周病に対する治療方法

歯周病の治療は、プラーク・歯石などの汚れを落とすことが基本になります。
しかし、それだけだと、再度汚れが付着して歯周病細菌が活動を活発化させると歯周病の進行が再開してしまいます。
なので、もう一つ大切なのが、歯磨きができるように環境改善を行うことが必要になります。

歯周病治療は
「汚れを落とす」だけでは
不十分です

歯周病の治療では、まず原因となるプラーク(歯垢)や歯石をしっかり取り除くことが基本です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
というのも、汚れを取ったあとでも、歯みがきがしにくい状態のままだと、すぐにまた細菌がたまり、歯周病が再発してしまうからです。

たとえば、「歯ぐきが深くえぐれている」「歯が大きく傾いていて磨きづらい」「根元が露出して清掃が難しい」といった状態では、毎日のセルフケアがどうしても行き届きません。

そこで当院では、必要に応じて歯周外科治療(フラップ手術・歯周組織再生療法など)を行い、歯ぐきの形を整えたり・骨を再生することで、深い歯周ポケットを浅くしたりすることで、口の中を清掃しやすい環境に改善します。

つまり、歯周病治療は「汚れを取るだけで終わり」ではなく、“歯みがきできる状態”をつくることが本当のゴールです。
しっかり治して、再発を防ぐための一歩として、環境づくりも大切にしています。

歯周病治療の
ステップ

01 歯周病検査

歯周病の診断を行うために、口腔内写真撮影・精密なレントゲン撮影・歯周精密検査を行います。
口腔内の状態により、検査の程度は異なります。

02 歯周病診断

歯周病の診断を行うために、精密なレントゲン撮影と歯周精密検査を行います。
その上で、診断を確定させます。


◆歯周病旧分類
・歯周病の進行範囲: 限局・広汎
・歯周病の進行度: 軽度・中等度・高度
・歯周病の進行速度: 慢性・侵襲性


◆歯周病新分類
進行度 1〜4 リスク A〜C

03 治療計画立案

歯周病の状況を把握した上で、必要処置を日本歯周病学会のガイドラインを元に決定します。

04 歯周基本治療について

歯の周りに付いている汚れを順序立てて取っていきます。

 

①ブラッシング指導
ご自身で歯ブラシができるように指導を行います。
プロフェッショナルケアー(P M T C)で汚れを除去したとしても、歯ブラシが出来ていないと再び汚れが付いて何度P M T Cを行っても歯周炎は治りません。

 

②機械的な歯肉縁上
プラークコントロール
衛生士による、PMTCを行います。
まずは、目で見える範囲の歯肉縁上歯石・プラーク・バイオフィルムを除去します。

 

③機械的な歯肉縁下
プラークコントロール
歯肉縁下の歯石・プラーク・バイオフィルムを除去するため、SRPを行います。
歯茎の中を触ると痛むので、麻酔を行い専用の器具を用いて縁下歯石を除去して行きます。
この時、手指の感覚とレントゲン写真によって歯石を探知して除去します。

05 再評価検査

再度、口腔内写真・レントゲン写真・歯周病精密検査を行い治療前後の比較を行います。
ここで歯周病の改善状況を把握します。
歯周基本治療では全ての歯周病の症状を改善させれるわけではありません。
歯周病基本治療が功を奏して、ポケットが4mm以下になった場合は、プラークリテンションファクターとなり得る原因の除去を行います。
その上で、問題なければメンテナンスに移行します。
歯周基本治療が終了しても、4mm以上のポケットが残存した場合は、歯周外科治療の適応になります。

06 歯周外科治療

S R Pでは、縁下歯石を盲目的に除去します。
特に6mm以上の深いポケットでは熟練した衛生士であっても全ての歯石を取り除くことは不可能です。
なので、外科的にフラップを開けることによって明視野で取りきれなかった歯石を全て取ります。

歯周外科を行うことによって、歯根面は空気に触れるので嫌気性菌は減少します。
しかし、深いポケットを改善しないままだと、また嫌気性菌が繁殖してしまいます。
環境改善のため歯周ポケットの除去同時にを行います。

※最初に歯周外科をしない理由
プラーク・歯石がついていると状態だと、歯茎には炎症があります。
炎症のある歯茎は脆弱なため、外科処置を行うことはできません。

07 再評価とメンテナンス・SPT( サポーティブ ペリオ セラピー)

歯周病は、一度治療を行ったから完治する病気ではありません。
再発を抑制するために、定期的なメンテナンスを行います。
専門的には4mm以上のポケットを抱えた状態でのメンテナンスをSPTと言います。

症例紹介

症例① 右上の歯が折れてしまった

Before

 

After

Before

 

After

主訴右上の歯が折れてしまった
治療期間6ヶ月
治療費保険治療の範囲内
治療内容根管治療・歯肉弁根尖側移動術・レジン前装冠ブリッジ
治療のリスク術後の腫れ・出血/歯冠歯根比不良による破折のリスク

▲治療のコメント

残存歯質の状態が良く、歯冠歯根比率1:1が確保できる場合においては、今回の治療方法が適応になります。他院では抜歯しないとダメだと言われたケースだったので抜歯せずに済んで患者様も喜ばれていました。

症例② 前歯が一本だけ長いのが気になる

Before

 

After

Before

 

After

Before

 

After

主訴前歯が一本だけ長いのが気になる
治療期間8ヶ月
治療費結合組織移植術 77,000円
※保健治療の金額は含みません
治療内容根管治療・結合組織移植術・レジン前装冠
治療のリスク術後の腫脹・出血 / 歯肉退縮による金属色の露出

▲治療のコメント

歯を抜いて歯茎が退縮してしまったことが原因で歯が長くなっていました。なので、上顎口蓋から結合組織を移植することで退縮した歯肉を再建しました。その上でブリッジのやり直しを行いました。

よくあるご質問

  • 歯周外科はどんなケースの場合に必要ですか?
    歯周基本治療を行っても,深い歯周ポケットかが残存している 。
    軟組織,および硬組織の形態異常によりプラークコントロールの不良や歯周炎の再発しやすい場合。
    審美障害や適切な修復・補綴物の装着を妨けげるような解剖学的形態異常。
    上記のような場合に歯周外科が必要になります。
  • 歯周病は人にうつるの?
    歯周病は、口腔内細菌の感染症です。
    お箸・スプーンを共有することで感染する場合があります。
    特にお子さんの場合は免疫機能が完成してないので特に感染しやすいと言われています。
    成人は免疫機能が完成しているので感染しづらいですが、全くリスクがない訳ではありません。
著者画像

著者:西垣 友裕

◆所属学会:日本歯周病学会
◆参加勉強会:
アストラテックインプラント研修会
ノーベルバイオケアインプラント研修会
ストローマンインプラント研修会
東京SJCD (日本臨床歯科学会)ベーシックコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオアドバンスコース
エムドゲイン歯周組織再生療法コース
Ivoclar Vivadent I P S Empress コンポジットレジン審美修復コース
IPRT 歯周再生療法マスターコース
その他多数の勉強会・ウェビナーに参加

◆海外の勉強会
EUROPEAN ASSOCIATION OF OSEEOINTEGRATION (ヨーロッパインプラント学会) Paris
ITI (インプラント学会) World Symposium   Switzerland Basel
AAP(アメリカ歯周病学会) San Diego