根管治療

根管治療とは

虫歯が深く進行し、歯の神経(歯髄)に炎症や感染が及ぶと、「根管治療(こんかんちりょう)」が必要となります。
これは歯の根の中にある感染物質を取り除き、再感染を防ぐために内部を消毒・密封する治療です。
歯の根は非常に細く、アリの巣のように枝分かれした複雑な形をしているため、精密な技術が求められます。

根管治療が成功するために
何が必要?

根管治療は「歯の中で起こる感染症」の治療です。
虫歯が進行して神経に達すると、細菌が歯の根の中に入り込み、根の先の骨まで感染が広がります。
この状態を放置すると、骨が溶けて歯がグラグラになり、最終的には抜歯が必要になります。

成功させるためには、
感染の「原因」と「経路」の
両方を断つことが不可欠です。

まず、「原因」とは何でしょうか?
それは、根管内に残っている細菌・汚れ・虫歯(感染源)をしっかり除去することが非常に重要になります。


もう一つの「経路」は、外から細菌が再び侵入する道筋のことです。
例えば、歯に穴が空いてないか?細菌が入り込むような隙間がないか?
それをチェックすることが根の治療に求められます。

 

根管治療は「ただ神経を取る処置」ではなく、
「感染症を制御するための精密治療」であることをご理解いただき、

適切な設備と知識を持つ歯科医院で受けることが成功の鍵です。

根管治療は、
なぜ大切なのか?

歯は、中空状の構造をしています。
エナメル質から徐々に進行してきた虫歯は、神経に到達すると一気に根の先まで進行し根尖の骨を溶かし始めます。
放置してしまうと、歯の内部から虫歯になるので、歯を長持ちさせることはできません。

では、どんな時に根管治療が必要になるのでしょうか?

 

◆虫歯が深く、神経が壊死している場合

 

◆歯髄炎(しずいえん):
神経が炎症を起こし、強い痛み(拍動痛・温熱痛)を伴う状態

 

◆根尖性歯周炎:
神経が死んだことで根の先に膿がたまり、噛むと痛い、膿が出るなどの症状がある

当院の根管治療について

感染の原因と経路を遮断するために、当院では根管治療を行うときに細心の注意をはらって以下のことを守って治療を行っています。

4つの特長について

1. ラバーダムを用いた無菌的処置

根管治療の最大の敵は“細菌感染”です。
治療中に唾液や空気中の細菌が歯の中に入り込んでしまうと、治療の成功率は著しく低下します。
そのため、当院ではすべての根管治療において「ラバーダム防湿」というゴム製のシートを使用し、治療部位を口腔内の他の部分から隔離しています。
この処置は米国などでは根管治療の標準手技とされていますが、日本国内の歯科医院での導入率はまだ5%以下とされており、十分に普及していないのが現状です。
当院では無菌的な治療環境を徹底することで、再感染のリスクを最小限に抑えています。

 

2. マイクロスコープによる
拡大視野下での精密治療

歯の根管は髪の毛ほどの太さで、枝分かれしながら複雑に入り組んだ構造をしています。
肉眼では見えない感染源や細かいヒビ、根管の分岐を見逃してしまうと、治療後に再発する原因になります。
当院では、20倍以上に拡大できる歯科用マイクロスコープを使用し、根の内部をリアルタイムに確認しながら治療を進めます。
これにより、感染源の取り残しを防ぎ、治療の精度と成功率を大幅に高めることが可能です。

 

3. ニッケルチタンファイルによる
柔軟で安全な根管拡大

根管内の感染物を物理的に除去するには、「ファイル」と呼ばれる器具を使って清掃・拡大する必要があります。
当院では、従来のステンレス製では対応しにくかった、湾曲根管や狭窄した部位にも対応可能な“ニッケルチタンファイル”を使用しています。
ニッケルチタンは高い柔軟性と弾性を持ち、根の形に沿ってスムーズに追従するため、根管壁を削りすぎることなく、効率的かつ安全な治療が可能です。
さらに、根管をより太く拡大できることで、薬液の浸透性も向上し、洗浄効果が高まるという研究結果も報告されています。

 

4. 歯科用CBCT(3Dレントゲン)に
よる精密診断

一般的な2次元のレントゲン写真では、アリの巣のように複雑に分岐した根管構造を正確に把握することは困難です。
当院では、歯科専用の高解像度CBCT(Cone Beam CT)を使用し、根の形や病変の位置、根尖の病巣までを三次元的に立体画像として確認します。
これにより、見えない感染源や追加の根管(第2根管など)の見落としを防ぎ、的確な診断と処置が可能になります。

根の治療の成功率は100%
じゃないと知ってますか?

根管治療の成功率は、治療設備や術者の技術、感染の進行度に大きく左右されます。
初回治療では、アメリカの専門医による治療で成功率は90〜95%と高く、日本の一般歯科では50〜70%程度にとどまるとの報告もあります。
再治療では成功率が60〜80%に下がります。

 

再治療の成功率は、
初めての根の治療の成功率に
比べて劣ります!

重要なことは、


①ラバーダムの使用(感染を防ぐ)
②マイクロスコープの使用(精密に確認)
③ニッケルチタンファイルの使用(湾曲根管にも対応)
④CBCT(3Dレントゲン)による立体的な診断
⑤短期間での治療完了(再感染のリスクを下げる)


この5つが守られて、正確で衛生的な治療環境が整っている歯科医院で最初!!に治療を行うことが非常に大切なのです。

根の治療だけじゃない選択肢

歯根端切除術と意図的再植に
ついて

根管治療(歯の根の治療)をしても症状が改善しないことがあります。
その原因の一つが、感染が根の先端から周囲の骨にまで広がってしまっているケースです。
このような場合、根の中だけを何度治療しても、外側の感染源を除去しない限り治癒は望めません。
このようなケースで行うのが、「歯根端切除術」「意図的再植」といった外科的処置です。

 

歯根端切除術とは?

歯ぐきを切開して骨の中にある感染した根の先端部分(歯根)と膿の袋(病変)を切除・除去する手術です。
あわせて、歯の根の先端から薬剤で封鎖(逆根管充填)し、再感染を防ぎます。

 

◆ 主な流れ
①局所麻酔を行い、歯ぐきを切開

②骨を削って感染した部分を露出

③根の先端を数ミリ切除

④病変を除去し、封鎖処理

⑤歯ぐきを戻して縫合

 

意図的再植とは?

保存が困難な歯を一度抜歯して口腔外で感染源を除去し、再び元の位置に戻す方法です。
特殊なケースに限られますが、通常の根管治療や歯根端切除が難しい位置にある歯で選択されます。

 

◆この処置の意義と重要性
これらの外科処置は、「抜歯せずに歯を残す」ための最後の選択肢といえます。
通常の根管治療では届かない病巣を外科的に直接取り除くことで、再発のリスクを大幅に下げることができます。

当院での根管治療の
保険治療と自費治療の違い

当院では保険治療での根の治療を基本としています。
しかし、国民健康保険のルール上では、CT撮影Ni-Tiファイルマイクロスコープを使用し根管治療ができる歯が限られています。
また、感染経路を遮断するための根の中に詰める薬にも制約があるのも事実です。
先ほども申し上げた通り、一番最初に行う根の治療が歯を残すには重要です。
よりしっかりとした根管治療を希望される場合は、自費治療の選択肢がないと十分な治療を提供することが難しい。
それが保険治療の限界なのです。

 

自費の根管治療の流れ

01 カウンセリング(45分)

レントゲン撮影・歯周病検査を行い、今後の治療の流れの説明を行います。

◆料金:保険治療範囲内、初診料、検査代など

02 初回治療 診断 (45分)

根の治療を開始するために、被せ物(クラウン)や詰め物を外し虫歯の治療を行います。
この時点で、根っこの中を40~60%程度清掃します。
ここで再度根管治療を行う価値のある歯かを再度診断します。
歯の残存量・破折・クラックの有無・根尖の破壊度合いなどを総合的に判断し、予後判定を患者共有して治療の継続の有無を相談します。

◆料金(自費治療):¥30,000

03 根管治療 (45分)

ここから顕微鏡・ニッケルチタンファイルを用いて根管治療を開始し、根管内の清掃を行います。
治療回数は歯の種類によって変わりますが、最低1回、根の数が多く複雑な場合には最大で3回の治療を行います。

◆料金(自費治療)
前歯:¥88,000
小臼歯:¥99,000
大臼歯:¥121,000
再根管治療の場合は追加で ¥22,000

04 根管充填(45分)

根管内の清掃が終わったら、感染の経路を遮断するために根の中に薬を詰めて治療を終了します。

症例紹介

症例① 右の下の歯が痛んで
食べ物が噛めない

Before

治療前

 

After

治療後

主訴右の下の歯が痛んで食べ物が噛めない
治療期間2ヶ月
治療費国民健康保険の範囲内
治療内容根管治療
治療のリスク根管治療中の炎症による痛み

 

▲治療のコメント

根管治療の成否は、感染源の除去と感染経路の封鎖の両方が出来ることが大事になります。
今回のケースでは、根の先に大きな膿の袋がありましたが、感染源である虫歯の除去・根幹内の洗浄・親知らずのポケットからの感染経路を遮断することが出来たので治癒したと考えています。

症例② 左上の歯をぶつけて他院で治療してもらったが膿みが治らない

Before

治療前

 

After

治療後

主訴左上の歯をぶつけて他院で治療してもらったが膿みが治らない
治療期間4ヶ月
治療費国民健康保険の範囲内
治療内容根管治療・歯根端切除術・逆根幹充填(外科処置)
治療のリスク根管治療中の炎症による痛み/外科処置後の腫れ・痛み

 

▲治療のコメント

今回のケースでは、当院で再度根管治療を行いました。根尖の病変が大きく、再発を繰り返していたことより、嚢胞形成をしている可能性が高いと判断しました。そのことより、外科的な治療が必要になる可能性をお伝えした上で、経過観察を行っていました。3ヶ月後再発・排膿したので、予定通り歯根端切除と逆根幹充填を行いました。それからは再発することなく、1年経過のレントガン写真でも根尖病変の消失が確認できます。

よくあるご質問

  • 根管治療は何回ぐらい通えば終わりますか?
    当院では、根の治療は2〜3回程度で終わります。
  • 治療後にまた痛くなったり再発することはありますか?
    経年的な劣化・虫歯ができたなど、感染の経路もしくは原因が出来てしまった場合は、再発することがあります。
    また、根の問題だけでなく・噛み合わせ・歯周病なども痛みの原因となります。
    しっかりとCT・顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて痛みの原因を診断することから始めます。
  • 根管治療は痛いですか?
    神経の生きてない歯は痛みを感じることは非常に稀です。
    歯の状況と必要に応じて麻酔を使用してなるべく痛みに配慮した治療を行います。
著者画像

著者:西垣 友裕

◆所属学会:日本歯周病学会
◆参加勉強会:
アストラテックインプラント研修会
ノーベルバイオケアインプラント研修会
ストローマンインプラント研修会
東京SJCD (日本臨床歯科学会)ベーシックコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオコース
The Japan Institute for Advanced Dental Studies ペリオアドバンスコース
エムドゲイン歯周組織再生療法コース
Ivoclar Vivadent I P S Empress コンポジットレジン審美修復コース
IPRT 歯周再生療法マスターコース
その他多数の勉強会・ウェビナーに参加

◆海外の勉強会
EUROPEAN ASSOCIATION OF OSEEOINTEGRATION (ヨーロッパインプラント学会) Paris
ITI (インプラント学会) World Symposium   Switzerland Basel
AAP(アメリカ歯周病学会) San Diego