PREVENTIVE予防歯科
予防歯科について
予防歯科とは?
一般的に予防とは、虫歯や歯周病にならないように、定期的な検診を行うことを予防歯科と言います。実際には、それだけでは予防はできません。
プラークリテンションファクターがあると、どれだけ頑張ってセルフケア(クリーニング)を行っても口腔内を清潔に保つことはできません。プラークリテンションファクターとは、プラークコントロールを阻害する環境因子の事です。
具体的には歯石や沈着物、不適合修復・補綴物、齲蝕楔状欠損、歯列の異常、歯や粘膜の形態異常、口呼吸、などを指します。このプラークリテンションファクターを改善する、予知性のある治療を行います。
プラークとは?
プラークは口腔内の汚れ細菌の塊です。プラークは機械的清掃、歯ブラシ、歯間ブラシによって除去できます。マウスウォッシュでは除去できません!
歯石とは?
プラークは機械的にのみ除去する事できます。除去できず、プラークが堆積すると1ヶ月程度で固く石みたいになります。それが歯石です。歯石は歯ブラシで除去する事はできません。
歯石の溜まりやすい所
下の前歯には唾液腺の開口部があり歯石が溜まりやすいです。その他に、歯ブラシで磨き残しが多い場所、奥歯の歯茎部・歯間部に歯石が付きやすいです。
バイオフィルムとは
歯面や歯石の上に存在する細菌の集合体のことです。身近な物で言うと、お風呂場のヌメリです。細菌がバイオフィルムを形成する事によって、細菌が外的要因(薬剤・唾液の免疫・口腔内の環境変化)から身を守る事ができます。
以上のことより、定期検診でのプロフェッショナルケアは
・バイオフィルムの破壊
・歯石、着色の除去
の2つを行う事が重要なのです。
当院の診療
患者様の口腔内をしっかりと把握するために、定期的なメンテナンスは、担当衛生士制を基本とします。メンテナンスの期間は一律3ヶ月とせず、患者様の口腔清掃状況を加味して衛生士と歯科医師が相談の上、決定します。
予防歯科の重要性
虫歯・歯周病の原因は、細菌による感染と解明されています。その細菌を除去する事が虫歯・歯周病の予防となります。
端的に言うと、歯磨きができていない細菌が多い口腔内では虫歯・歯周病になります。ですので、予防・細菌除去を行う事が非常に大切です。
検査・リスク評価に関して
レントゲンによる検査と、歯周病検査を行います。生活習慣の問診を行う事により、リスク評価を行います。
食生活で気をつけるべきこと
虫歯のリスク
間食での糖質摂取は虫歯のリスクになるが、食事中の糖質は虫歯のリスクにならないと言う研究結果があります。
具体的に言うと、食事中に食べた卵焼きに入っている砂糖では虫歯にらないと言う事です。また、おやつとして、アメ・チョコ・キャラメル・ジュースなどを長時間、口に含んでいると虫歯になりやすいです。食べた後に、お茶、水など飲んでH P(酸性度)を戻してあげるとリスク低減になります。
当院の予防歯科について
予知性のある治療
医療には“evidence-based medicine”と言う言葉があります。意味は”科学的根拠に基づいた治療“です。当院では、エビデンスに基づいた治療を提供致します。
その上で予知性を考え、治療の内容・介入範囲を提案します。また治療が終了しても、今後治療が必要になる部位を予知し、次回以降の治療タイミングやメンテナンスの方法を提案します。
患者様に合わせた
メンテナンス
メンテナンスの期間は、3ヶ月・6ヶ月など決まっている歯科医院が多いと思います。果して、それで良いのでしょうか?口腔内の状況、年齢など様々なケースに合ったメンテナンスの頻度があるはずです。
当院では患者様の口腔内の状況を歯科医師と衛生士で総合的に判断し適正なメンテナンス期間を患者様に提案致します。
定期健診
定期検診について
定期検診でわかること
定期検診を行う目的は、口腔内の病気(歯周病や虫歯)を初期の段階で見つける事です。また、口腔内の変化を見ていきます。
定期検診を行うメリット
口腔内の病気を初期で見つける事は、とても大切です。なぜかと言うと、虫歯・歯周病は治癒する事がない疾患だからです。虫歯は歯に欠損ができる疾患・歯周病は歯を支える骨が欠損する疾患です。共に欠損した歯や骨を再生する事はできません。だから定期検診が大切なのです。
定期検診で行う事
- ①虫歯や歯周病の進行がないかチェック。
- ②口腔内のバイオフィルム・歯石・プラークの除去を行います。
- ③かみ合わせ悪習癖などのチェック。
定期検診の流れ
虫歯のチェック
1年1回のレントゲン撮影による虫歯のチェック。
歯周病のチェック
半年に1回歯周病検査を行い進行がないかチェック。
ブラッシング指導
磨けてない所を確認してブラッシング指導を行います。
プロフェッショナルケア
(クリーニング)
プロフェッショナルケア(クリーニング)を行います。
歯科医師チェック
歯科医師によるチェックを行います。
検診日程の予約
次回の定期検診の間隔を決めます。
歯茎の検査について
歯周ポケットの検査
歯周プローブというメモリのついた棒状の器具を歯と歯茎の境目に入れ、歯周ポケットの深さを測ります。これによって、歯周病の有無や歯根面の歯石の有無等を検査します。また、検査時の歯茎からの出血の有無を見て、歯茎が炎症を起こしていないかの確認をします。
歯周ポケットの深さと歯周病の判別は以下の通りです。
- ポケットの深さ1〜3mm :
健全 - ポケットの深さ4〜5mm :
初期〜中等度歯周病 - ポケットの深さ6mm以上:
重度歯周病
歯の動揺度の検査
- 0度:
動揺なし(0.2mm以内) - 1度:
前後に動揺(0.2〜1mm) - 2度:
前後左右に動揺(1mm〜2mm) - 3度:
前後左右に動揺(2mm以上)、または上下に動揺
定期検診の頻度
定期検診のペースは、医療保険の都合で3ヶ月と一律で決まっている医院が多いかと思いますが、当院では、患者様の口腔清掃状況を把握し患者様と衛生士と歯科医師で相談の上、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月と決めます。
当院の予防歯科メニュー
PMTC
PMTCとは
Professional Mechanical Tooth Cleaningの略称で、簡単に言うと専門家が機械的に歯を磨く事を指します。
当院のPMTCメニュー
スケーリング
スケーリングとは超音波振動もしくは、専用の手用刃物で歯石を取る事です。歯石の状態になると、歯ブラシで除去する事はできないのでスケーリングが必要になります。
ポリッシング
ブラシで磨きをかける事により、バイオフィルムの除去と、ステインの除去を行います。
エアフロー
人工甘味料エリスリトール(エリトリトール)14μmのパウダーを吹き付けます。これにより、非接触にてバイオフィルムの除去と、ステインの除去を行います。エリスリトールには、バイオフィルムの形成阻害があり、歯周病・虫歯の予防効果が高い研究結果があります。
※エアフローを希望される患者様に関しては材料代2,000円+税をいただきます。
セルフケアについて
歯ブラシについて
歯ブラシの選び方
歯ブラシを選ぶ基準は、毛の硬さ・毛の形・ヘッドの大きさ・持ち手の形に大別されます。一般的に望ましい歯ブラシは、以下のようなものが挙げられます。
こんな歯ブラシがオススメ
- 歯並びや口腔内の形態に適した小さ目で薄いヘッド
- 奥歯まで届きやすいもの
- 持ち手が手にフィットして操作しやすいもの
- ブラッシング法や歯茎の状態に適した毛の硬さや形態
- ご自身で使いやすいと感じるもの
現在は様々なタイプの歯ブラシが販売されているため、歯科医師や歯科衛生士のアドバイスの元、決定すると良いでしょう。
歯ブラシの使い方
利き手で鉛筆を持つように把持し、毛先が広がらないくらいくらいの力加減で1本1本丁寧に優しく磨きます。
特に、歯と歯の間・歯と歯茎の境目・奥歯の噛み合わせ面の溝は磨き残しが多く見られ、虫歯ができやすい場所でもあるので重点的に磨きましょう。
歯と歯の間・奥歯の噛み合わせ面は、歯面に対して歯ブラシを水平に当て、溝に毛先が入り込むように磨きます。歯と歯茎の境目は、歯面に対して斜め下45度の角度で毛先を当て、小刻みに磨きます。磨き方が分からない場合や、磨き残しがある方は、歯科医師や歯科衛生士から適切なブラッシング指導を致します。
歯間ブラシについて
フロス、歯間ブラシの必要性
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れの70%以上が磨けていません。皆さんのお口の中の銀歯は歯と歯の間からの虫歯じゃないですか?歯周病の進行は歯間部から起きていませんか?
虫歯、歯周病を予防するためにも歯間ブラシの活用は有効的です。
歯間ブラシの選び方
歯間ブラシのサイズには、4S・SSS・SS・S・M・L・LLなどがあり、歯と歯の間の大きさによりサイズを決定します。
誤った使用を続けると、歯と歯の間が広がってしまったり、歯根や歯茎を傷つけたりしてしまう可能性があるので、歯科医師や歯科衛生士と相談して決めると良いでしょう。
歯間ブラシの使い方
- 1.歯や歯茎を傷つけないように頬側から舌側へゆっくりと歯と歯の間に挿入します。
- 2.歯間ブラシを前後に動かしてプラークを落とします。
- 3.清掃後は頬側からゆっくりと引き抜きます。
- 4.舌側からも同じように挿入し、プラークを落とした後、舌側から引き抜きます。
- 5.使用後はよく水洗いし、通気性の良い場所で保管します。少なくとも1~2週間に1回は交換し、ブラシ部分が曲がったり、毛先が乱れた時は、その都度交換しましょう。
[ワンポイント]
歯間ブラシの先を歯の先端に向けて挿入するとスムーズに入りやすいです。また、歯に沿わせるように角度を変えて挿入すると、隅々まで清掃することができます。
フロスについて
フロスの種類と選び方
フロスの形状は主に、ロールタイプ・ホルダータイプ(F字型・Y字型)があります。
ロールタイプ
フロスを指に巻き付けて使用します。より細かにフロスを動かすことができるため清掃効率は良いですが、慣れるまでに時間がかかる場合があります。
ホルダータイプ
フロスが元からホルダーに装着してあるタイプと、ご自身でフロスをホルダーにつけるタイプがあります。小児や高齢者への使用、フロス初心者への導入時などに適しています。
- F字型
- Y字型
前歯の歯と歯の間の清掃時に適しています。
挿入しにくい奥歯の歯と歯の間の清掃時に適しています。
また、フロスの素材は、ワックスタイプ・アンワックスタイプに大別されます。
- ワックスタイプ
- アンワックスタイプ
ワックスがコーティングされているため、滑りがよく、歯と歯の間への挿入や清掃が比較的容易に行えます。アンワックスタイプに比べて、切れたりほつれたりしにくいので、初心者でも使いやすいです。
ワックスがコーティングされていないため、滑りが悪く、慣れるまでに時間がかかることがあります。しかし、その分プラークがフロスに絡まりやすく、歯面への適合も良いので、ワックスタイプに比べて清掃効率が高いです。
フロスの使い方
【ロールタイプ】
- 1.フロスを40cm程度(指先から肘位まで)切ります。
- 2.フロスの両端を両手の中指に巻き付け、親指と人差し指で固定し、よく張った状態で使用します。この時、指と指の間隔を1~2cm程度に保つと、よりスムーズに操作が行うことができます。
- 3.ゆっくりとのこぎりを引くようにスライドさせながら、フロスを歯と歯の間(歯と歯茎の境目)まで挿入します。
- 4.フロスを歯に沿わせながら、前後左右に動かし、プラークを落とします。片方の歯の面を清掃し終えたら、もう片方も同じように行います。
- 5.清掃後はゆっくり歯の先端に向かって引き抜きます。もし抜けない場合は、片指をフロスから離し、横から引き抜きます。(銀歯の部分を清掃する場合は横から引き抜いた方が良いです。)
- 6.3~5を全歯に繰り返し行います。歯を清掃する度にフロスの新しい面を使用すると清潔に使用できます。
- 7.フロスは基本的に使い捨てなので、使用後は破棄します。
フロスの使い方
【ホルダータイプ】
ホルダーを利き手で把持し、上記の3~6を行います。
フロスは、基本的に朝・夜の1日2回の使用が望ましいですが、継続して使用し続けて頂くことが1番重要なので、最初のうちは朝のみ・夜のみでも結構です。また、歯ブラシの前にフロスを使用することで、清掃効率や歯磨き粉に含まれるフッ素の効果が高まります。
フロスと歯間ブラシ
どちらが良いのか?
フロス
- 歯と歯の隙間が狭い方
- 歯と歯茎の境目の清掃時 etc.
歯間ブラシ
- 歯と歯の隙間が広い方
- 補綴装置(ブリッジ、インプラント)の周囲
- 矯正装置の周囲 etc.
洗口剤って意味があるの?
洗口剤の効果
洗口剤は、単独で使用しても意味がありません。洗口剤で口腔内細菌が形成するバイオフィルムを破壊することができないので、まず、歯ブラシと歯間ブラシ、フロスでバイオフィルムを機械的に除去します。その上で、洗口剤を使用して残った菌を洗い流して殺菌します。